田中アハ太郎の痛風

 また痛風ネタかよ! すみません。でも、俺にはもう痛風しかないんですよ……。

 さりとて山田勝己ほど己を痛風の道に追い込んでいない俺だが、この一ヶ月間、皆様はいかがお過ごしですか? 俺は……お茶だけ暮らすというどう考えても常軌を逸しているプランを即座に捨てて、今は飲むヨーグルトやヤクルトを飲みながら生活していま~す。

 俺は喫煙者で、タバコを吸うときはなにか飲み物がほしいタイプなのだが、お茶や緑茶だとなんか気持ち悪いし、アイスコーヒーとかは苦すぎて飲めない(じゃあなんでタバコ吸ってんだよ)ので、今は健康になるためにヨーグルトを飲みながらタバコを吸っています。

 この前医者に行って尿酸値を測ったら12.9だった。基準値はおおよそ7~8の間だったので、これが異常尿酸値だとよくわかりますよね。ほらあったじゃん、西武の中村剛也一人のホームラン数よりも千葉ロッテマリーンズのチーム本塁打数のほうが少なかったシーズン、おおよそあんな感じです。ところでおかわり君痛風とか大丈夫なのかな。

 みんながWithコロナとか言ってんのに俺だけWith痛風だからな、世界に対する俺の存在のしょうもなさがこういう形で露呈すると、帰り道小田急快速急行の中でほろりと涙が出てくる……。ところで小田急に乗ってると下北沢で降りる女が分かるようになりませんか? これ、いい暇つぶしなのでおすすめしておきます。

 できることなら俺の体もロックダウンしててほしいよな。必要な栄養だけ送られて俺はずっと寝ているの。これ、マジでみるみるうちに痩せていくと思うよ。菅総理、なんとかならないものなのでしょうか?

 なんとかならさそうだが、WithコロナなりWith痛風なり色々なWithをつなげていくと最終的にたどり着くのはWith実家で、俺は高卒だから前置詞なんて何一つわからないけど、そろそろ23歳になろうとしている男がWith実家状態なのはヤバいと思うよ。まさに、お茶だけで生活するというプランをあっさり捨てた俺の精神的かつ物理的な甘ちゃんっぷりが俺の心を実家に縛り付け……これと似たようなポエム、BLEACHの巻頭にありませんでしたか?

 こうして俺はボロボロで薄い布団の中へ潜り込み一日をやり過ごそうとしていると壁に貼り付けたポスターの中で微笑む涼宮ハルヒが目を見開いて俺のことを……そういえばハルヒの新刊が発売されていたんだった。アニメイトまで買いに行かないと!

 というわけで涼宮ハルヒシリーズの最新刊「涼宮ハルヒの直観」が発売された。前作驚愕からは9年半ぶりの続刊発売ということで世間が大いに湧いている……ようにはあまり見えないが、とにかくそれなりに盛り上がっている。大いに盛り上げるつもりの涼宮ハルヒは不満だろうけど。

 9年て。光陰矢の如しと言っても限度があるだろ。そりゃ俺も無職になるし痛風にもなるよ。しかも俺が痛風のときにも涼宮ハルヒは高校生のままなんだろ? 新刊読んだけど、続編出なさすぎて若干時空歪んでるじゃん。サザエさん時空っぽい感じになってんじゃん。

 動乱の秋葉原の、そしてその文化の中心地に涼宮ハルヒが立っていたことをイメージする。別に本当は涼宮ハルヒが中心だったかどうかなどということはどうでもよく、というか涼宮ハルヒと文化なんかどうでもよく、涼宮ハルヒという存在がたしかに俺の中にズドンと居座っていることは確かなのだということを確認すればよい。ハルヒはどこにも行ってない。9年の時間など、キョンのタイムトラベルに比べれば……。

 いや、9年は長すぎるだろ。俺、無職になっちゃってんじゃん。大学受験失敗してんじゃん。驚愕のときは中学生だったんだぞ。おい、ハルヒ!!!!!! 俺の人生の責任を取れ!!!!!!!

 しかし、人生の責任などというものがハルヒに関係あるわけもなく、というか全世界の人類などハルヒにしてみればそのほとんどが関係もなく、どうでもよい存在なので、とりあえず俺は精神科医にこの9年間のことを話すしかないのだった。

 そう、まず――

 宇宙人と未来人と超能力者について話してやろうと思ったけど、普通にそんなこと忘れて「あ、いつもどおりっす……」って答えるしかなかった。やっぱ責任取れよ!