震えている場合ですか?

 昔歌手の西野カナが会いたくて 会いたくて震えると歌っていたが、今の夏の暑さはもう震えている場合ではないな。マンションから一歩外に出ただけで俺もうこのまま死ぬのかな、それとも死ぬ前に今まで自分が犯してきた罪を清算するためにこんなに灼熱の太陽の光を浴びているのかなと思ったもんね。神様、私何か悪いことしましたか? 俺が犯した罪で思い浮かぶのは無職なのに母親のクレジットカードで「明日ちゃんのセーラー服」の単行本を買ったことくらいだが……。そういえば、昔、笑っていいともの前身番組で「笑ってる場合ですよ」って番組があったことを思い出すよね。今の俺もまさに震えている場合ではないが笑ってる場合ですよといった感じだ。何に、って、この暑さではなくてわたくしのこの人生についてですが……。

 わたくしが前回ブログを更新したのはなんと2021年の12月、悲願のヤクルト優勝・日本一について書いた記事で、それ以来約8ヶ月ぶりの更新となるが、この間に何か世の中で変わったことは何か起きたかな……と母親のクレジットカードで契約している朝日新聞デジタルの記事を見てみたら、そうそう、元総理が暗殺されていましたね。大体、ツイッターでつぶやくこともこのブログに書くことももう無くなってきていて、今の俺は朝起きて新聞読んでテレビ見て昼寝して野球を見る生活を送っています。普段俺はこの怠惰な生活ぶりを「ワシャ年金暮らしか!」という風にやや自虐めいて表現しているが、もう年金生活者未満だよ。どうなってんだこの生活は。俺もいずれ「婆さんや、飯はまだかのう」「やあねえ、さっき食べたでしょ」みたいなこと言うようになるのかな。嫌だなあ、老いというのは恐怖だなあと思っていたけど、そもそも俺結婚出来ないじゃん。最近マジで両親からの「孫の顔が見たいなあ」という圧がデカくなってきて辛いよ。やあねえ、アハ太郎、あなたももうありもしない恐怖と虚しい妄想から抜け出してちゃんと現実に目を向けなきゃ。

 現実って、今シーズンの東京ヤクルトスワローズが序盤は絶好調で史上最速でマジックも点灯したのに7月に入り選手たちの新型コロナウイルス集団感染が発生した途端に絶不調に陥って、2位のチームに詰め寄られていることですか?

 そうじゃないよ。だいたいなんで俺は会話する時の手札が野球か相撲か政局か将棋しかないんだよ。ジジイのハッピーセットかワシャア。もっと若者っぽいことしないとダメだよアハ太郎。もう同級生とか結婚を始めてて恐怖でしかないけど、俺はまだ24歳。もっとフレッシュでいなきゃ。

 フレッシュでいようたって……そう思って人の集まりに顔出して旅行するなりしてみたが、やはりこの身最後に残るのは人と会うのは疲れるなという疲労感と寂寥感だけなのである。いや、俺も人と会っている最中は楽しいよ? でもその集まりが終わった後のなんともいえないあの感じ。この感情の浮き沈みのサイクルに疲れるよねってことだよ。かつて桑田佳祐はそれを津波のような侘しさと歌にしたのだ。

 そういう訳で根っからのインドア派の俺は今、エアコンがよく利いた部屋の中でアニメ「リコリス・リコイル」を見ています。このアニメ、いいよね。色々とツッコミどころはあるが、もう俺はアニメ見て「萌え~」としか鳴かない萌え豚キモ無職野郎だから全く無問題だ。何よりも「萌え」が重要だからね。二次元の美少女が出てくるんだから。ちなみに特に俺が「萌え~」と鳴くのは千束ちゃん。ぜひお兄さんのことを踏んでください。いや、踏まなくても結構です。そのゴム弾でお兄さんのことを撃ってください。痛めつけてください。断罪してください。もう震えている場合ではなくなった無職の最後のお願いと断末魔なのです。もう縋るものはそれしかないんです。

 何? 「リコリス・リコイル」はそういうアニメじゃない!? そもそもアニメのキャラクターが一人の無職の男を断罪するはずがない!? じゃあこのアニメダメじゃん。アスカは俺のこと「気持ち悪い」って断罪してくれたからね。

 そしてアニメのキャラクターが俺のことを断罪しないのであれば、逆説的に俺もまだ震えている場合だってことだ。あ~良かった。みんな、アハ太郎はまだブルブル震えています。怖くなったらいつでも森へ帰っておいで。まだ間に合いますから(何に?)

 

 ……いや、間に合ってねえよ!(だから何に?)