無職ならロックをやれ!?

 さ、寒すぎる……と思って部屋の温度計を見てみたら3℃だった。さ、3℃て。いくら無職が家庭のリソースを無駄遣いしているとはいえ、3℃まで下がったらもう耐えられぬ! と、「無職なのにストーブを点けるというような電気代とガス代の無駄遣いはやめろ」と親から言われるが断腸の思いでストーブ点火! ボッ! チチチチ……という音と共に熱風がストーブから吐き出されて、やがてその暖かさが部屋全体に広がり、俺の体の冷えも癒やされて……ない! 全然暖かくならない! そもそもストーブがあるのは家の居間だし、俺は今このブログを自室で書いている以上、いくら居間のすぐ横に襖だけで仕切られた俺の部屋があるとしても、すぐに暖かくなるはずがない! なんだこれ、北風と太陽の現代版か? 無職はたとえストーブを使ったとしても暖かくなる資格はないって言いたいのか? 今流行っている学習性無力感ってこういうことかよ! 俺はモルモットでも猿でもないぞ! おい! ここから出してくれ! 誰か助けてくれ!

 いや、部屋の外から出してもらったら更に寒いだけで、その瞬間に俺は細胞のすべての動きが全停止して凍えて死ぬだろうな。朽木ルキア卍解ってそういう感じの能力で敵を殺すタイプだった気がする。

 前回のブログ更新からはや一ヶ月。しかし一ヶ月だけでこうも寒くなりますかね? やはり、地球環境は加速度的なペースで崩壊しつつあることを確信させるよね、と思ってカレンダー見たら12月だった。えっ、もう12月なの? ついこの前まで東京オリンピックがどうとか言ってなかった? と思って記憶を辿ったらそもそも東京オリンピックって去年だった。ヤバいよアハ太郎~もうマジで時間の感覚が人とズレすぎてて小鶴誠が言う「ボールが止まって見えた」の逆バージョンに突入しちゃってるよ~どうするんだよこれ~。加速度的なペースで崩壊しているのは俺の生活の方だった。これが人新世ってやつらしい。いや、俺がしなきゃならないのは職申請。来年還暦を迎える(マジで?)両親からも「月に10日でもいいから働いてね」と言われる有様だし、流石のアハ太郎も25歳を迎えるのに無職じゃマズいと思って、ランサーズのページを開いたんだけど、毎回そこで満足してパソコン閉じちゃうんだよな~。あれってなんでなんですかね? タモリさん、トリビアになりませんか?

 なる訳ねえだろ。訳分かんねえこと言ってねえで働け! でもな~という迷いの心が俺をdアニメストアの迷宮へと誘って、ソファの上に寝転がりながら「ぼっち・ざ・ろっく」を見ています。

 ぼざろ、面白いよね。大体転がり続ける俺の人生も、まさにロックンロールだ。特に人と話すときに必ず「あっ」と頭についてしまうぼっちちゃんと、常に金欠で人から金を借りないといけない山田リョウ、俺と他人とは思えない。二人から美少女成分とロック成分を抜いたらほぼ俺です。じゃあ別人じゃねえかって? そう言うと思ってな、俺は先手を打ってあるんだよ。常に相手の手を読み、一歩リードする。これが人生の奥義だ。忘れるなよ。

 俺はロックを始めることにしました。美少女にはなれないけど、ロックはいつからでも始められるもんね。大丈夫、ジミ・ヘンドリックスカート・コバーンも27歳で死んだけど、この東洋の島国からは、25歳からギターを始めてロックスターに上り詰める男もいるのだ! その名も「にーと・ざ・ろっく」! どうだ? 「ぼっち・ざ・ろっく」よりもエグみが増して、もうその威圧感だけでロックだね。おい! 全国のニート共、俺たちみんなでロックを奏でてこの国を無職ロックフェスティバルの国へと生まれ変わらせるぞ! 俺についてこい!

 こうなったらウカウカしちゃあいられねえ! 早速ギターをゲットだぜ! と思ってぼっちちゃんが持ってるギターを検索したら値段が80万してて目玉が飛び出た。は、80万て……。ぼっちちゃん、普通にリッチじゃん、俺とは全然別人じゃん。よく考えたらあの娘、普通に一軒家に暮らしてるし、山田リョウなんか病院の院長の娘だった。全然階層が違う人の話だった。なんでだよ。世の中理不尽すぎるだろうが! おい! 無職にはロックも出来ねえのか! 俺にロックをやらせろ! ギターを弾かせろ! 「アリーナ!」って言わせろ!

 そういう訳で、俺は今ロックの道を諦めて寒い部屋の中でホットココアを飲みながらこのブログ記事を書いています。でも、よく考えたら「働いてよ~」って言われながらそれをガン無視して無職として生きているのって、その精神性だけは十分ロックじゃね? もしかして、俺ってロックスターじゃね? 後は適当に俺みたいな高卒無職でも養ってくれるお姉さんを見つけたら、事実上の武道館完売だろ……。俺のロック道は、まだまだ始まったばかりだぜ!

 

 ……バカなこと言ってないで働け!