六月になっちゃった

 俺は無職なので普段は部屋から出ない引きこもりのオタクだと思われがちだが、実際には結構居間とかに出てテレビを見ていたりしていて、我が家ではテレビの上にカレンダーがあり、否応なく日付の変更を強迫的に見せられているわけだ。

 というわけで六月になってしまった。もう上半期もラスト、今思い返すと2018年は俺の周囲ではいろいろとあったりしたもんだが、俺個人に限れば一切何もなく、というか思い出したくもなく、あっというまに2019年を迎えてほしい気分だがね。

 まあでも先々のことを考えるとあまり時間がないのも確かであって、でも半分終わりってことはハンターハンターだと大体グリードアイランド編が終わったところだろう、こう考えると時間が長く感じます。無職を生き抜く上で大切なことだ。

 じゃあ現状の俺の生活はどうかというと、無職なのでそりゃ「働け」とか言われるしひどいときは「外に出ろ」とか言われたりもする。まあでもそういう時は睡眠薬いっぱい飲んでラリって喚き散らすと家族が気を遣って「働かなくてもいいよ」とか「悩まなくていいんだよ」とか言われて一ヶ月くらいの猶予期間が加算されていく生活だ。羨ましいか? 変わってくれるんなら変わってくれ。

 とにかく無職というのは人との出会いが極端になく、そもそも人と会う機会がなく、自動的に母親の顔が生涯を通じて見た女の顔の通算期間ナンバーワンになることは間違いなく、今日もフォロワーとの飲み会に出かけたという訳だ。

 今日の待ち合わせ場所は上野。皆さんご存知でしょうか? 俺は上野となんとなく縁深く、というか要は近所に住んでいるだけで、高校も上野の近くなのでいろいろと青春の思い出が……詰まってないな。一人でゲームセンター行っていただけだった。

 ところで今日は金曜日なのであって、金曜日のアメ横は人が通れないほど人が多くて、うごめく人々は集団というよりも巨大な一匹の黒いムカデっぽい。フォロワーと落ち合って高架下の飲み屋に行ったのだが、もう人多すぎて俺入れないし、俺デブだし、すみませんすみませんと世界中に向けて叫んでいた。

 こういうお店に来た時に最初に烏龍茶を頼むと店主から「ウチはサイゼリヤじゃねえ!」と張り手でも食らうので飲めないのを我慢してレモンサワーを頼んだ。レモンサワーも子供のお酒という諸氏、酒臭いぞ。

 その後はお互いに近況報告をしたり今後のことについてのアドバイスをもらったりして、アメ横をふらついた。俺がサングラスをかけると紅の豚っぽくなるのはなぜでしょう? よく「飛べない豚はただの豚だ」とか言われるが、ポルコは飛んでいるから紅の豚だとしたら俺は飛べないので実際ただの豚だし、ただの豚相手に紅の豚だと詰るのはまったく見当外れであり、第一俺は豚ではなく人間である。

 人権があるんやぞ!と人の波にタックルしながら動乱のアメ横を抜け、上野公園でまったりした。誰も見向きしてないのに勝手にライトアップされ続ける人工の滝を見て涙が止まらなくなりそうになった。実際は一滴も流していないが。

 途中別のフォロワーと合流し羊の肉食わす中華料理屋へ。俺は羊の肉を食ったのははじめてだったので「これが羊の肉か」となんの感動もなく串焼きを食べていたが、別のフォロワー二人が絶賛していたので美味いだろう。

 最後にTSUTAYAでDVDを借りて帰宅した。なんかバズっているツイートがあり、俺のインターネットは加速し続けているが、俺の人生はまるでエンストでも起こしたかのように真っ白な経歴を更新中だ。いくらなんでも、そろそろやばいぜ。